ユニオンが介入してきた

ユニオンが介入してきた


1. トラブルの説明

3ヶ月の試用期間が過ぎた頃、新入社員Xから就業規則について尋ねたいと言ってきました。
Xは、積極的に仕事を学ぼうとする姿勢がなく、さりとて何か非違行為があるわけでもなく、直属の上司も疑問符を持ちながらも、これからが育成、指導だと思う矢先のことでした。上司は一通りXに就業規則を説明しましたが、Xはシフト勤務の取扱に納得がいかないと言い始めました。
上司にすれば入社前にも説明した内容でしたので、納得して入社してくれたものとばかり思っていましたので違和感を強く感じました。

試用期間が過ぎ本採用となったXは、ますます仕事に消極的になっていきました。試用期間中は、日報など最低限の仕事はこなしていたのですが、それも滞るようになり、上司が注意しても「忙しくて所定時間内ではできない」というばかりでした。他の社員は所定時間内で終わっていましたし、新入社員のXの負荷は明らかに低いので、再度、日報など報告物を提出するように指導したところ、帰宅後、自宅からメールで報告物が来るようになりました。
Xを呼び、所定時間内で業務を完了するよう指導しましたが、「忙しくて所定時間内ではできない」と繰り返すばかりでした。

そうこうしている内にあっという間に6ヵ月が過ぎたある日、本社にファックスが届きます。内容はXがユニオンに加盟したこと、Xに対する残業代未払いについての団体交渉の申し入れでした。

2. リスク(罰則や判例など)

労働組合の組織率は20%を大きく下回り、それも大企業中心ですから、中小企業にとっては、ユニオン?労働組合?初めてと仰るケースも多いと思います。大企業においては、多くは御用組合で、組合の書記長になることがキャリアパスになるようなことも少なくないですから、「今さら何を」とお考えになるのも無理ないことかも知れません。労働組合の組織率の低下は、労働組合の存続を危うくするレベルに達しており、彼らも必死に生き残りを画策しています。それが、今回のように社員が単独で地域労組(いわゆるユニオン)に加入するケースの増加として現れています。

労働組合法には次の定めがあります。

(交渉権限)
第六条  労働組合の代表者又は労働組合の委任を受けた者は、労働組合又は組合員のために使用者又はその団体と労働協約の締結その他の事項に関して交渉する権限を有する。

(不当労働行為)
第七条  使用者は、次の各号に掲げる行為をしてはならない。
一 (略)
二  使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由がなくて拒むこと。(以下略)

よって、正当な理由がなく、団体交渉を拒むことは不当労働行為として違法となりますので、その団体交渉が正当なものである限り、使用者としては誠実に交渉する以外に手段はありません。

団体交渉の議題になるものは、「組合員である労働者の労働条件その他の待遇や当該団体的労使関係の運営に関する事項であって、使用者に処分可能なもの」(菅野和夫著労働法第9版)と解されますが、使用者が同意する限り広範な議題が対象となる可能性があります。
誠実に交渉するとは言いましても、相手の主張を認めなければならないことはありませんので、単独や少数の組合では大きい問題にならないのが通常です。

しかし、使用者側に法令違反かグレーゾーンがある場合は話が異なります。組合は、組合料をもらっている以上、また新たな組合員の獲得のため、お金の掛からない方法で使用者を責めてきます。団交での強弁と労働基準監督祖を初めとする公的機関への申し立てです。

対処を誤りますと多方面に火の手があがり、その際に是正しようと思いましても組合員だけの問題でもありませんので難渋することになります。

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