パートタイマーの雇い止め

パートタイマーの雇い止め


トラブルの概要

食品製造業のY社では、コスト削減のためパートタイマーの活用を図ってきました。
パートタイマーは、6ヶ月の期間契約としており、発売停止が決定した商品の製造ラインについては、以前から契約を打ち切る方針でいました。

Y社は、掲示板に契約更新1週間前に、今回の契約更新がない旨の通知をしたところ、2年以上勤務しているベテランのパート社員Xらから不当だとして猛烈な抗議を受けました。
「契約更新については、今までは自動更新だった。今回も直前になるまでなんの予告もなく雇い止められた。使用者の権利濫用で雇い止めは無効だ。 」

Xらの抗議を受けてY社の人事担当A課長は、次のように応酬しました。
「販売が停止した商品の製造ラインの従業員は雇い止めするのは以前からの会社の方針。契約更新するともいってないのだから、期間満了で当然雇用契約は消滅する。」

問題点の整理

確かにA課長が主張するとおり、有期雇用契約は期間満了で終了することが原則ですが、有期労働契約の更新等に当たっては労働契約法第19条に定めがあります。 これは従前の有期雇用契約の満了による雇止めに関する判例法理を条文化したものとされています。

「有期労働契約であって次の各号のいずれかに該当するものの契約期間が満了する日までの間に労働者が当該有期労働契約の更新の申込みをした場合又は当該契約期間の満了後遅滞なく有期労働契約の締結の申込みをした場合であって、使用者が当該申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす。
1 当該有期労働契約が過去に反復して更新されたことがあるものであって、その契約期間の満了時に当該有期労働契約を更新しないことにより当該有期労働契約を終了させることが、期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすることにより当該期間の定めのない労働契約を終了させることと社会通念上同視できると認められること。
2 当該労働者において当該有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められること。」

今回のケースでは、Y社がXらの有期雇用契約を反復して更新したことは間違いなく、Xらが契約更新を訴えていることから労働者からの更新申込みも行われていると考えられ①期間の定めのない労働契約と社会通念上同視すべきかどうか②更新されると期待することに合理的な期待があるか、が争点になります。
 
実質無期の契約に該当するかどうかは双方に言い分があるようですが、更新の期待は相当程度高かったものと考えられます。

また、通告が一週間前ということも問題があるようです。
判例法理や直接の法律上の規制というわけではありませんが、行政による基準「有期労働契約の締結,更新及び雇止めに関する基準」(平成15.10.22厚労告357号・平成20.1.23厚労告12号)によって、一定の場合に雇止めの予告が求められることがあります。
この基準は、有期契約の締結に際し、更新の有無、および、更新がありうる場合の更新の判断基準を明示することや雇止めを行うに際し、有期契約を3回以上更新している場合や通算で1年を超えて継続勤務している場合には、契約期間満了の30日前までに予告をすることなどが定められています。
法律ではなく行政の基準ですから、直接の法的効力を持っているというわけではありませんが、違反すれば行政による指導等の対象になります。

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